西加奈子さんの『サラバ!』を読みました。
読み終わった私の中に、こだまするフレーズがあります。
それが、
「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけない。」
これが、エコーのかかったような音で、身体中に・・・いや、心臓に届いていきました。
「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけない。」
ドクン・・・。私の心臓は、確かに動いたのです。「それ、図星なんです。」というような「ドキリ」「ドキッ」では、ないんです。そういう心臓の動き方ではなく、「ドクン・・・。」です。血の気が戻るような・・・。
この小説は、主人公・歩(あゆむ)の視点で、ストーリーが展開されていきます。
小説を読みながら、私の視点は歩となり、その歩のすぐ側に私の視点が存在することとなります。歩になりつつも、歩のハイヤーセルフと言うか、一緒にその世界を楽しむ存在というか。そういう位置付けになっていたのかな。小説を読み進めていくごとに、
なぜ、歩は生きにくくなったのか??
いつから、歩は生きにくくなったのか??
どうやって、歩は生きにくくなっていったのか??
そんなことをたどっていくのですが、この視点は歩に限らず、歩の周りの人たちにも言えることであって。
そして、小説を読む、私たちにも言えることであって。
その答えに気づくきっかけとなる小説なのかなあと思いました。
知らずしらすのうちに、その生き方になった。
「生きやすい」と思っていた。
でも、なぜか「生きにくく」なっていた。
なんで、この生き方になっていたのだろう。
その視点になった時に、自分の中に響く言葉。
「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけない。」
この言葉は、歩の姉・貴子の言葉です。貴子も歩同様に、”なにか”にもがき続けていました。そして、その”なにか”がわかり、本当の貴子というか、生きやすい貴子へと変容したのです。そんな貴子が、まだもがき続ける歩に対して放った、言葉。
「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけない。」
信じるもの。
決める。
自分で。
本当の意味での、ありのままの自分へ。
”自分”は、自分でつくっているから・・・。
『サラバ!』 西加奈子 著
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