ラクでいいじゃん♪

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西加奈子さんの『ふる』を読んでみた。

 

最近、西加奈子さんに、ハマっています。

 

西加奈子さんの作品を、読みあさっています。

 

『きいろいぞう』に始まり、

『漁港の肉こちゃん』『さくら』

そして今、読み終わりました、『ふる』

 

『ふる』は、主人公の池井戸花しす(あだ名は「池ちゃん」「イケ」「花しす」など)にした、

「いのち」を描いた物語です。

 

でも、「いのち」と言っても

「いのちを大切にしなきゃいけない!」とか、「いのちの儚さを知った」とか、

そんな大層なことを突きつけられることは、ありません。

 

「今」、「わたし」が存在していること。

 

これを、しっとり、噛み締めることのできる物語です。

 

 

「今」を生きているようで、実は生きていない私たち。

過去の自分や、「こうありたい」「こう見られたい」と外の目を気にして生きている気がします。

それも、無意識に。

 

その無意識の自分に気づくきっかけを、私は物語から拾っているようです。

そのサインが、「共感」。

 

 

なんだか、主人公の表現が、とてもしっくりくるのです。

そして、自分の中に残っていた「無意識のカタマリ」がモゴモゴ動き始めるのです。

 

 

『ふる』で、私の「無意識のカタマリ」が特に動いた箇所が、こちら。

 

ーーー以下、引用ーーー

『イケは本当に優しいね。』

・・・

でも花しす、は自分のことを優しいと思ったことなど、一度もなかった。自分は、誰かを傷つけるのが怖いだけだ。それを優しさだと、ある人は言うかもしれないが、傷つけないことと、優しいこととは違う。

花しすは、人が傷ついたとき、顔が歪むのを見るのや、流れている時間が止まることが嫌なのだった。そしてのそことに関与しているのが自分であるということが、一番怖いのだった。

花しすはもっと言えば、能動的に誰かと関わることが、怖かった。いつでも受け身でいたかった。自分が選ぶのではなく、選ばれる側でい続けることで、関係性においての責任を負うことを、避けた。卑怯なことだと、自分でも思う。そしてそうしている自分を、誰も責めず、あまつさえ「優しい」などと言われるのだ。

 

ーーー引用、ここまでーーー『ふる』 西加奈子 著 (河出書房新社 2015年)ーーー

まさに。

 

そして、ものすごく共感している自分発見したのです。

 

 

わたしも、よく「ゆうちゃんは本当に優しいね。」と言われてきました。

でも、別に自分を「優しい」と思ったことなんてなかったし、

なんなら「何もしてないけど?」と思っていました。

 

それに、「花しす」のように、誰かが傷つくのを見たくないから、

なるだけ「本音」を言わないようにしていました。

 

友達の笑顔が見たいから、嫌なことをされても笑っていました。

嫌がらせをされても、「も〜、やめてよ〜笑」って、頑張って演じていました。

 

ケンカを避けてきました。

小学生の卒業文集には「もっと友達とケンカしたいです。」と書いていました。

 

先生が心地よくいてほしいから、

「優等生」でいるように、静かに、従順でいるように心がけていました。

 

 

みんなの嫌な顔を見たくないから。

みんなの笑っている顔を見たいから。

 

 

ハンバーグプレートの付け合わせに乗っている「ブロッコリー」のように、

ハンバーグをより美味しくさせる「添え物」になれたら。笑

 

 

それに、「優しい」って言われることがだんだん快感になってきたし、

「優しいゆうちゃんでいた方が、いいんだよね?」と

見られるカタチになろうとしていました。

 

そのために、何も「起こさない」ように、しのび足で生きてきたように思います。

そして「優しいゆうちゃん、大好き」と指名されることを求めていたように思います。

 

 

そういう風に、

周りの人にカタチ作られる「ゆうちゃん」で生きていました

それで、生きたかったのです。

その方法しか、知らなかったのです。

だから、何も不快にも思っていませんでした。

 

 

でも、今、わたしは「今」を生きています。

その実感があります。

 

だから、『ふる』を読んで、わたしが作り出していた風景を改めて見ています。

自分にあった、いや、もしかしたら今もあるのかもしれない「無意識のカタマリ」を見つめました。

 

そして、「そんな自分も、いたね。」って。

「今、すごく楽しい実感があるね。」って。

 

そう、自分と会話して、「今」を見ています。

 

 

私は、わたしです!

 

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