【報告】オランダ学校視察の旅① テクナジウム(研究開発コース)がある学校
2018年10月11日オランダへ学校視察に行ってまいりました。
オランダの学校は、全ての教員がコーチングを学んでいて、
教えるだけでなく、子どもの成長を引き出す役割を持っています。
そして、子どもたちは主体的に学習できる
しくみになっているんです。
そんなオランダの学校を見てみたい!ということから視察に参加しました。
関連記事:オランダに行く理由
今回は、3日間で4校に訪問しました。
中高一貫校2校と小学校と特別支援学校です。
学校ごとにレポートいたします。
1校目は、中高一貫校の
カランドリセイウム(calandlyceum)です。
オランダの中高一貫校(中等教育)
オランダの中高一貫校(中等教育)には、
6年制
5年制
4年制
があります。
このカランドリセイウムには
6年制、5年制、4年制全てのコースがあります。
<ご参考>
1. 大学進学教育(VWO)
12-18歳を対象とする6年制課程。
初等教育を終えた子どもの約20%がこちらへ進みます。
研究大学(WO)への進学準備をする教育を行っています。
下記3つのコースがあります。
・ギムナジウム Gymnasium:ギリシャ語とラテン語が必修科目
・リセウム Lyceum :ギリシャ語とラテン語が選択科目
・アンテネウム Atheneum :ギリシャ語とラテン語を学習しない
2.上級一般中等教育(HAVO)
12-17歳を対象とする5年制課程。
初等教育を終えた子どもの約20%がこちらへ進みます。
高等職業教育(HBO)への進学準備をする教育を行っています。
3.中等職業訓練教育(VMBO)
12-16歳を対象とする4年制課程。
初等教育を終えた子どもの約60%がこちらへ進みます。
中等職業教育(MBO)への進学準備を目的としています。
前期2年間が基礎課程、後期2年間が職業訓練課程。
職業訓練課程では進路コースと専門分野を選択します。
履修時間はおよそ週30時間、年間40週間で、うち約4週間が実際の企業での研修に充てられます。
参考サイト:せかいじゅうライフ
視察の案内役は学生でした!
私たちを迎えてくれたのは、6年制コースの5年生(16歳)の学生4人!
明るく笑顔が素敵な彼らが校内を案内してくれたり、
プレゼンしてくれたりしました。
カランドリセイウムの特徴は、
テクナジウム(Technasium)というコースがあることです。
6年制過程には、
・ギムナジウム Gymnasium:ギリシャ語とラテン語が必修科目
・リセウム Lyceum :ギリシャ語とラテン語が選択科目
・アンテネウム Atheneum :ギリシャ語とラテン語を学習しない
の3つのコースがあると説明しましたが、
このLyceumの部分がテクナジウム(Technasium)コースになっているんです。
テクナジウム(Technasium)は、現在94校の学校で採用しているコースで
面白い特徴があります。
それは、研究開発(R&D)という科目があることです。
これは、4人1グループになって、企業や団体からの課題を解決する
プロジェクトを計画、実行するものです。
ちなみに、協力企業や団体は多岐にわたり、
銀行や病院、美術館、警察、メーカー、動物園などがあったそうです。
企業から申し出てくれる場合もありますが、
高学年になると、自ら営業をかけて課題を探すそうです!
研究開発(R&D)は、
問題分析、関係者分析、外部分析からはじまり、
解決策をデザイン(プロトタイプづくり)、
実際に製品化したりして、
依頼した企業や団体を含めてプレゼンを行うという流れです。
これを、3~4か月という期間で行うそうです。
教室には、なっなんと
3Dプリンターや工具などがそろっている部屋まで完備されていて
試作品など作れる環境が整っています。
ちなみに、ヤクルトの日本法人も学校に協力していて
毎年、課題を提供してくれているそうです。
私たちにも学生から課題を与えられました(笑)
「ヤクルトを使ったレシピを考えてください。
但し、条件があります。ヤクルト菌を保持するために
熱を加えることができません。」
うーん、と考えていろいろ案を出しあいました。
・ヨーグルトに混ぜる
・アイスクリームにかける
・フレンチトーストのようにパンに浸す←熱を加えるからNG
・ドレッシングにする
最終的に、「ドレッシング」という提案をしたところ、
学生たちに高評価をいただきました(笑)
このような形で、グループメンバーでブレーンストーミングをしながら
プロジェクトを立案し進めていくそうなんですね!
ちなみに、彼ら本人は、
ヤクルト入りチョコレートを作ったそうです。
現在取り組んでいるプロジェクトをご紹介しましょう。
ワールドスクールというNGO(非営利団体)から
中南米やアフリカの開発の依頼に対して・・
・プロジェクト1.アンデスで松のプランテーションをつくる
・プロジェクト2.ウガンダの養鶏場の売り上げUPプロジェクト
過去のプロジェクトで好評価だったものはこちらのサイトで
紹介されています。(オランダ語です)https://www.technasiumtopaward.nl/voorgaande-edities
コンピテンシー
「学びを把握する学び」がコンピテンシーである、
と学生から紹介されました。
コンピテンシーというと、日本では
人事評価のツールでボーナスの査定に使われる、
というなんともマイナスなイメージが強いのではないでしょうか。
しかーし、オランダ教育のコンピテンシーは違います。
「自分を知る」ためのツールなんです!
なぜ、学校へ行くのか?
何を学ぶのか?
それを常に考えて、
自分が何が得意で何が得意でないかを把握し、
自分を成長させることが目的です。
学校は、その成長プロセスを学ぶ場という役割なんですね。
300の質問項目から20の能力にまとめ、最終的に6つの能力を測ります。
テクナジウム財団で定めている6つの能力はこちら↓
(グーグル先生の翻訳なのでちょっと変ですが・・苦笑)
Communicatief(コミュニケーション)
Creatief(クリエイティブ)
Ondernemend(エンタープライズ)
Projectmatig(プロジェクトベース)
Samenwerkend(一緒に働く)
Zelfsturend(セルフステアリング)
ちなみに、プレゼンしてくれた学生は自分で
項目をカスタマイズしているようでした。
このコンピテンシーを年に3回くらいやるそうです。
自分を分析したり、どのくらい成長したかを理解して、
目標設定したり、自分を評価します。
満点が評価されるのではなく、
はじめ3だったのが5になったか、8になったか、という
成長度が評価されるんです。
これは、自己理解をすすめ、
自己肯定感を高めることにつながるものであり、
すばらしいしくみだなーと感じました!
まとめ
テクナジウムコースの学生の中には
プロのカヌー選手がいました。
授業の中で週16時間、練習の時間を提供されているそうです。
スポーツだけでなく、芸術の過程もあり、
能力がある生徒はコースをカスタマイズして学ぶことができます。
自分の能力を高めることにとても前向きな学校なんですね。
そして、最も印象的だったのは、
案内してくれた4人の学生たち。
16歳ですが、スタッフ?と思うくらい堂々としていました。
そして、目がキラキラ輝いていて、学びを楽しんでいるのが
とても伝わってきました。
4人のうちの一人、サラちゃんは、勉強がクレイジーなほど(笑)
大好きで、将来は医者になるという目標を
持っているそうです。
ステキですね!
学びを楽しむオランダの学校。
1回目の訪問からお腹いっぱいご馳走様でした(笑)
こちらの記事も合わせてご参照ください!
⇒②視察2校目 ものづくりを学べる研究開発授業
⇒③視察3校目 キャリブレーションのプロ
⇒④視察4校目 オランダもかつては・・・
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