【報告】オランダ学校視察の旅③ 特別初等教育(SBO)キャリブレーションのプロフェッショナル!

2018年10月19日 0 投稿者: JUNJUN

オランダ学校視察3校目は、
特別初等教育(SBO)の学校

エヴェナー学校(De Evenaar)です。

 

オランダの小学校

 

オランダの小学校は、

・オランダの初等教育(BAO)

・特別初等教育(SBO)←今回訪問した学校はこちら

・特殊教育(SO)

の3種類があります。

 

 

初等教育(BAO)はいわゆる普通の小学校で

対象は4歳から12歳までです。

 

特別初等教育(SBO)は

学習困難、教育困難、問題行動の子どもが対象になっていて

4歳から14歳まで通うことができます。

 

特殊教育(SO)は下記の子どもたちが対象です。

クラスター1:盲目の視覚障害の子供
クラスター2:聴覚障害児および言語発達発達障害の子供
クラスター3:運動不能、精神障害、長期の病気の子供
クラスター4:精神障害および行動障害のある子供

 

オランダ教育文化科学省HP参照https://www.rijksoverheid.nl/onderwerpen/passend-onderwijs/speciaal-onderwijs

 

 

ひとりひとりに合ったサポート

平均1クラス15人の体制で、
基本的に、教室で授業を受け、
フリースペースで自習
というスタイルで
一般的な学校と同じ流れです。

広くて明るいフリースペース。左が教室です。

教師のほかに、
特別養護専門家
言語聴覚士
ソーシャルワーカー
理学療法士
が在籍しています。

 

ひとりの子どもに対して、
担任、各専門家の先生、親のチーム体制で

子どもひとりひとりに合わせたプログラムを作り
サポートしているそうです。

 

といっても、きちんと学校のルールを
子どもたちに理解してもらい
ルールを守った上で
自分に合った学習、選択をする
というのが基本、とのことでした。

 

教室の後ろには、
子どもたちが自ら考えたルールが
張り出してありました!

子どもたちが考えたルール。周りにはサインも!

 

低学年は、
遊びながら学ぶというスタイルで
ゲームなども活用していました。

 

高学年になると
進学の目標を設定して、学習するスタイルになります。
教科書にもいろいろな種類があって
本人に合ったものを使用できるんだそうで
とても柔軟ですね。

 

進路の決め方は、
全国共通テスト、知能テスト、
社会感情のテスト、
先生の評価、特別養護の先生の評価、親の評価
を参考にするそうです。

 

自分の目標を設定してそれに向かう、
アウトカム志向なんです!

高学年の子ども達。集中して勉強してます!

 

面白い工夫

 

毎日、休み時間にどう過ごすかを決めて
遊びます。
毎日、休み時間の遊びリストが回って来て
希望の遊びのところに
自分の名前を書くんだそうですよ。

 

これは、
取り合いなどの喧嘩を防ぐことと
どこに誰がいるかを把握できること、
子どもが自分で決める、
計画する力を身に着けるという
メリットがありますね。

 

また、授業中はじーっと座っているだけでなく、
体を動かす工夫をしています。

例えば
ただ手を上げさせるのではなく、
YESと思う人は右に集まって
NOと思う人は左に集まって~
という聞き方をして立ったり歩いたり
する機会を作るんです。

5感を使って学ぶことを意識しているんですね。
まさにNLPです(笑)

 

他にも、

一日の時間割を絵で表して視覚でイメージしやすくしたり
授業中に先生が教室内を歩くルートを同じにして
いつ先生が自分のそばに来るのかをわかりやすくしたり

と、

子どもが混乱したり不安に感じることを避ける配慮が
されています。

子どものことを考えた合理的なシステムですね。

電子掲示板。左には今日の、右には週のスケジュールがあります。

BOXクラス

 

この学校には、
BOXクラスというクラスがありました。
DV被害を受けて恐怖症になっている子供が対象です。

 

12週間を最大として受け入れ、対応し、
普通のクラスに戻します。

 

一人の子どもの例をご紹介しましょう。

A君は、自分の思い通りにならないと
怒りまくり暴れるという問題行動を起こすため、
BOXクラスに来ました。

それが、たった4週間で改善したんです。

A君本人が、
「僕は昔はすぐ怒っていたけど
今は違うよ。このクラスに来て変わったんだ!」
と言っていたんです。

びっくりしました(^o^)

 

A君の対応の流れを担当の養護教諭に伺いました。

まず、よーくA君を観察したそうです。
何も言わず、手を出さず、ただ観察します。

そして、専門書なども参考にしながら、
問題行動の原因が恐怖であることを把握して
アプローチしました。

具体的には、
A君がコントロールできるものの全てを排除する
という意味で
彼の思い通りにさせなかったそうです。
(これは大変だったでしょうね・・・)

そうすると、A君は
「自分の思い通りにならなくても
大丈夫なんだ」という体験ができて、
気持ちが安定してきました。

 

ここでの教師側のポイントは、
A君に対する周囲の偏見などがありましたが、
それに流されず、自分の思い込みを排除して
ただ、A君を見るということ、
あとは、忍耐力だそうです。

他の先生とのコミュニケーションも取って
意見交換することもポイントだそうです。

 

たった4週間で本人が「自分が変わった」と言える
なんて素晴らしいですよね!

 

子どもを信じて向き合う先生の姿勢が
とても輝いてい見えました。

(めっちゃ美人の先生です♡ 笑)

 

まとめ

 

子どもは段階を経て成長していくもの、
だから、「焦らず見守る」
ということを大事にしている学校でした。

また、特別初等教育とはいえ
子どもに
自分で考え、選択し、行動することを
任せています。

「主体性」というオランダ教育の特徴が
ここにもある!ということが分かりました。

 

オランダでも、子どもに支援が必要であることを
受け入れられない親がたくさんいるそうです。

そのような場合でも
1年くらいかけて、じっくり関係者を含めて話し合い、
それぞれの子どもが成長するために必要なことを
提示して理解を得ているとのことでした。

そんな努力の末、9割の親が納得して
特別初等教育を受入れるようになるそうです。

 

先生たちは、子ども達をよーく観察しています。
キャリブレーションのプロです!
そんな子どもとの向き合い方、姿勢が
とっても勉強になった訪問でした。