【報告】オランダ学校視察の旅④ 初等教育(BAO)課題は自分で採点するんです
2018年10月27日オランダ学校視察4校目は、
初等教育(BAO)の学校
オプドヘレンアルム学校(Op de groene Alm)です。
ユトレヒト中心からバスで約10分の新興住宅街にある
小学校。
学校の前には、魅力的な遊具がある公園があり、
同行した息子が飛びついていました(笑)
クラスの種類と授業のすすめかた
この学校は学年ごとに3つの色で分けられていました。
グリーン:
未就学児(2歳半から4歳)と
低学年(4歳から6歳)
未就学児は初等教育ではないので別組織が運営し、
場所だけ同じ建物を使っているそうです。
就学前から学校に慣れることができるし、
建物もいくつも建てる必要がないので
とても合理的ですよね!
オレンジ:
中学年(6歳から9歳)
ブルー:
高学年(10歳から12歳)
ドアや机などがこれらの色で塗られていて
すぐに、どの学年だ、というのが分かるようになっています。
教室にはプランニングボードがあり、
自分が何をやるべきか、
どこまでできたか、
が一人一人わかるようになっています。
授業の進め方は
まず、講義をして先生が情報を提供します。
その後、各自で与えられた課題の中から
その日にやることを自分で選択して取り組む
というスタイルです。
(これは、ダルトン教育のスタイルです)
子どもは課題をやったら、
自己採点をします。
その後、課題をBOXに入れます。
見学したクラスには、3つのBOXがありました。
①補習は必要ありません=よくわかりました
②補習は必要ではないと思います=たぶんわかっていると思います
③補習が必要です=わかりません
自分の理解度に応じて該当のBOXに入れるんです。
それによって、振り返りと自分の理解度を把握することが
できるようになっています。
先生は全てのBOXをチェックして、
必要な子どもには補習授業でフォローをするそうです。
カンヤトレーニング
カンヤトレーニングとは、態度やふるまいの(behavier)トレーニングで
いじめ防止の効果があるものです。
オランダの学校の多くでは、このトレーニングが取り入れられているそうです。
どのようなトレーニングかというと、
4色の帽子を使います。それぞれに意味があります。
白(タイガー):他者を助ける、優等生、しっかりしている
黄(うさぎ):シャイ、自信が無い
赤(モンキー):ユニーク、笑う、明るい、ひやかし、ふざけ
黒(ブリーバード鳥):マナーがイマイチ、攻撃的
何か問題が起きたとき、4色の帽子を使って
立場による違いを体験するロールプレイをするんです。
これは、NLPでいう
「デソシエイト」「ニュートラルポジション」など
知覚位置の変換をつかったものです。
当事者の中から外に出て、客観的に見るという手法で
冷静に物事をとらえることができるんです。
わかりやすく簡単にデソシエイトするために
「帽子」を使っている、というのが面白いです!
ちなみに、ぬいぐるみを使う学校もあるようですよ。
しっかり者がなぜタイガーで、
なぜシャイがうさぎなのか・・・は分かりません(笑)
国民性ですかね。
オランダでも、かつての教育は・・・
オランダでも、かつては一方的に
先生が講義をするだけの授業だったそうです。
それが、約30年前から少しずつ変わって
今のオルタナティブ教育の普及があります。
オランダは社会の変化に柔軟に対応できる国
なので、教育も変わっていったそうです。
でも、課題もあるそうです。
それは、「子どもの行動の変化」です。
親が子どもに対して
「命令」ではなく「交渉」するようになったため
親が子どもをリードしない
↓
子どもは何でもやっていいと思う
↓
我慢ができない、
相手をリスペクトしない
何が良くて、何が悪いかがわからない
という子どもが多くなったそうです。
自主性、主体性も大切ですが、
「思いやり」も大事です。
その点、日本は思いやり、気遣い、は得意分野ですから
双方のいいとこ取りをするのがいいかもしれませんね。
まとめ
オランダでも、自主性、主体性を優先した教育のため
学力低下が問題になったそうです。
だから、今では小学校でも、年2回、全国統一テストがあり
5歳から受けます(偏差値も出るそうです)。
ただ、偏差値を上げる教育ではなく、
成長を目的とした教育を行っている、と先生はおっしゃっていました。
オランダでは、◇◇高校出身とか、〇〇大学出身とか
出身学校の名前や学歴がステイタスではありません。
どの職業がエライという観念もありません。
人からこう見られたいから、こうする、ではなく、
自分がやりたいから、これを選ぶ、そんな国なのです。
そこが、大きな違いなのかなーと感じました。
こちらの記事も合わせてごらんください!
⇒①視察1校目 生徒の主体性、自主性を伸ばす
⇒②視察2校目 ものづくりを学べる研究開発授業
⇒③視察3校目 キャリブレーションのプロ
⇒④視察4校目 オランダもかつては・・・