電車に乗っていた時のこと。
その電車の座席は、窓側に並行しているタイプではなく、新幹線のような座席、
つまり2人で同じ進行方向を向いて電車の旅を満喫できる内装だ。
そして稀に4人で向かい合って座ることができるのだが、大概その席にスッと座ると、
目の前にいらっしゃる人は全く知らない人であって、目のやりどころに少々困ってしまう、
なんてこともある。
そんな「新幹線タイプ」の電車に乗っていた時のことである。
私は2人席の通路側の席に座っていた。
滅多に乗らないタイプの電車なので、なんだか気分がルンルンしてしまう。
「今日の旅館、楽しみだねー♪」なんてセリフをうっかり言ってしまいそうになるくらい、なんだか旅行気分な私。
そんなルンルンな私。
キョロっと通路を挟んで斜めまえの座席を見ると、4人席が見える。
そしてちょうど進行方向と逆側に座っている2人席に、女子2人が座っていた。
おそらく大学生で仲良しコンビ。
そしておそらく大学2年生だな、うむ。
人を見た目で判断しまくりで、そんな推理を行ってみたのだ。
仲良しコンビの世界に「ゆうちゃん」が存在しないように、そーっとチラチラっと観察していると、
そのコンビはおもむろにスマホを取り出した。
なにやらキャピピ♪と喋り、
スマホをインカメにして、
手慣れた手つきでスマホを持ち替え、
自らを撮り始めたのだ。
顎を引いて、
目を見開くまでは行かずに大きく開いて、
口を閉じて口角をヒョイっと上げ、
唇をプリッと出してみる。
その表情をしながらも、相方はスマホに指をかざしている。
・・・すごい。
めっちゃすごい。
私は一瞬にして、彼女たちに尊敬の念を送ってしまった。
でも、彼女たちの世界に「ゆうちゃん」が存在しないためには、何も起こしてはならなかったのに!!
何事もないように見てあげたかったのだが・・・
ごめんなさい、できませんでした。
そして何がすごいって、
カメラに向かって、自分を「かわいく」見せようとしていることが!!すごい!!
自分がどうやったらかわいく写るのかを、周知している。
周知どころじゃない。
熟知ってヤツだ。
しかも、カメラ向けた瞬間に。
もう、女優もんだなと思うのです。
最近なんかは、スマホのカメラアプリで『SNOW』なんていうものをみんなよく使い、よく撮り、よく笑い、SNSなどにアップしている。
アプリを起動した状態でインカメを覗いてみると!あれ不思議!!
人間の顔がすでにかわいくワンコ風に彩られる。
その状態を考慮して、自分の顔を「かわいく」セットして写真を撮る。
その彩りがワンコだったり、キラキラデコレーションだったり、おじさん風だったり・・・そのバリエーションは多岐にわたる。
でも、そんな風にアプリの助けを借りてたとしても、
自分をカメラに向かって「かわいく」見せることが達者なことに、
私は「めちゃすごい!!」と思うのです。
もうみんな、女優。
さて、かくいうゆうちゃんは、と言いますと。
いざカメラを向けるものなら、全力の笑顔もしくは変顔。
要は、”まともな”写真が撮れない被写体なわけです。
100パーセントのど笑顔か、100パーセントのゆうちゃんではない顔。ゼロか100か。
自分の良さをわかっているのか、わかっていないのか・・・笑。とほほ。
なんてことを思っていると、
ゆうちゃんたちの前列の座席が空き、なななんと!その「仲良し2大女優」がそこに移ってきたのだ!(・。・!)
これはもしかしたら、ゆうちゃんもその写真に写りこむんじゃないか〜♪♪
や~~どんな顔しようかなあ〜♪
「・・・・(ごにょごにょ)・・なんか、・・・(ごにょごにょ)・・・見られて・・・(ごにょごにょ)・・恥ずかしかったもん。」
そんな言葉がチロっと聞こえてきた。
あ〜〜〜〜〜〜!!もうほんまごめんねえ〜〜〜〜!!
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