オランダと日本、教育の違いをまとめてみた。

子どもの幸福度が高い国として、オランダが有名です。
その中でも、オランダの教育はすばらしい!と、
近年日本で紹介されるようになりました。

私がオランダに出会ったのは2015年9月。
その出会いに衝撃を受け、2017年に2回視察に行きました。
(現在は、視察ツアーでみなさんと一緒に視察を行っています。)

実際に、定期的なオランダの教育現場へ視察に行き、
小・中・高・大学の視察や、オランダの先生、オランダのコーチとの出会いから、
オランダの教育について、まとめていきます。

前回は、「オランダの教育の特徴は?」という記事を書きましたが、
今回は、「オランダと日本、教育の違い」について、書いていきます。

【1】受験があるか、受験がないか

日本→受験があります。
オランダ→受験がありません。

受験があるか、ないか、この違いがあります。
そして、この違いこそが、とても大きいように感じます。

受験がない「オランダ」は、
初等教育は、主に人間形成や社会性を育むことを
とても大事にしています。
社会の一員である自分が、社会に参加するということの意味や、
あらゆる人の中で生きていくために、コミュニケーションをどう持っていくかなど、
人と生きるために必要なことを、しっかり学びます。
行きたい学校へ行くことは可能であり、入学時に試験はありません。
受験や他者評価を気にすることなく、
自分のペースで、自分を育てていくことができます。

【2】留年・落第が存在する
オランダでは、小学校から留年や落第が存在します。
日本では、いかがでしょうか?
小学生で、留年や落第は聞いたことがありません。

オランダでは「できた」を積み重ねること
自分のペースで成長すること

を大切にしています。

理解が伴っていないまま、次の学年に進級して困るのは誰でしょうか?
理解が伴っていないまま、次の学年に進級したらどうなるでしょうか?

「できた」を積み重ねていけば、理解は増え、理解は深まります。
だから、「身の丈にあった学び」を大事にしています。

これは、オランダの学校の先生がおっしゃっていたことです。

ないより、いつからでも、何度でもやりなおしがきく環境。
それが、オランダの学校です。

【3】解き方・やり方の自由があるか、ないか
オランダでは、計算問題の解き方に自由があります。

「この問題ととくのに、どんなやり方があると思う?」
「どんな方法でとくことができる?」
「あなたは、どんな方法で解いたの?」

いくつものやり方がある!

体育の活動の中でも、そのような様子が見受けられました。

子どもたちにやり方の自由があると同時に、
先生たちにも、教え方、進めたかの自由があります。

ゴールは決まっている。

そのゴールにたどり着くのに、
どんな方法でたどり着いても構わない!

それが、オランダの教育の中に存在していることです。

【4】自分を大切にできる環境があるか、ないか

授業中、机の上には水筒が置いてあったオランダの教室。
喉が渇いたら、飲んでもOK。
トイレも、行きたいときにいってもOKでした。
たとえ、授業中だったとしてもです。

それは、自分の体を、自分が大事にすることだから。
それがクラスの中で許され、認められている環境です。

【5】中等教育以降の学びが大きく違う
オランダの中等教育からは「学問」が始まります。
科目の数、勉強の量が初等教育を大きく超え、
それに加え、年7回の試験で成績を見た上で、
未達の場合は、留年、落第になります。

私が視察にいった学校(6年生の学校)では、
1年生の科目なのに、
語学だけで、
ラテン語、ギリシャ語、英語があり、
そのほかにも、歴史、数学、理科など・・いくつのことを学ぶの?という
科目・学習量でした。

受験がないため、
自分のやりたいこと、尽きたい職業に繋がる学問に
日々取り組んでいました。

【6】自分のやりたいことで進路を決めるのは12歳
オランダでは、12歳(初等教育の最終学年)の際に、
自分が何をやりたいか、どんな仕事をしていきたいなど、
じっくりしっかり考える時間があります。

そして、それを踏まえて、先生に希望を伝えます。
先生は、本人の希望をきき、
1人1人の人間性や性質、学びのペース、特性などを踏まえた上で、
中等教育の進路(何年制のコースに進むかどうか)を、先生が決めます。

先生は、一人ひとりの身の丈にあった進路を、選んでいきます。

オランダの子どもたちは、12歳のときに、
自分の将来について、1つ大きな決断をしています。

そのため、中等教育に進学した際、
自分が何のためにこの学校に入り、何のために勉強をしているのかという、
自分のビジョンや未来と今が繋がっている状態なのです。

自分の将来を考え、そして自分で選ぶ。
それを12歳でやっているのです。

【7】価値観を共有していくプロセスがあるか、ないか

オランダは、色んな国出身の人が住んでいる多国籍な国です。
教室にも、1クラスに20国籍の子どもたちがいるクラスがありました。
1人1人、価値観も違えば、宗教も違う、生活習慣も違う。
そのような子どもたちが、1つのクラスで学ぶのです。
違いがある人同士が、1つの社会を創っていく。
そのような国だからこそ、「価値観」を1人1人の中に共有し、育て、創り上げていくプロセスが
しっかりと存在しています。
ピースフルプログラムやシチズンシップ教育も、4歳から導入されています。
人と人が違うということ、どんな違いがあるかを感じること、その違いがあるまま、
一緒に生きていくために、どんな価値観を共有していくことが必要なのかを、
実践しています。

「尊重」とは、こういうことですよ。
ただ、説明されることではなく、
尊重とは、どういうことかを背院生がリードしながら共に考え、練習し、振り返り、確認しながら、
全員の中での「尊重」という言葉の概念や価値観を共有していきます。

このようなプロセスがしっかりと
教育の中にプログラムとして存在している、
また実践し、定着しています。

いかがでしょうか?

もう一歩オランダの教育について、
踏み込んでみました。

日本とオランダでは、教育のシステムや背景が異なるため、
あらゆる面において、違いがあります。

どちらがいい、悪い、
どちらが優れている、劣っている。

そのような視点で見てしまうと、この違いは死んでしまいます。

ぜひ、違う方法を行っている。
違う価値観で実践している。

「何が子どもの幸福度」に繋がっているのか・・・

ヒントを、見出していただければと思います。

>>さらに知りたい方こちらへ!
■子どもの幸福度が高い国」オランダ、その教育とは?

■オランダと日本の教育、どんな違いがあるのでしょうか?

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木村祐理

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木村祐理(きむら ゆり) / Yuri Kimura /  自分であることが楽しくて、嬉しい。と、 あなたが、あなたでありがとう。が溢れた社会になるために、活動しています。

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